メモアプリ"Notes"をLinuxMintにインストールした話(未解決)



1. 概要

メモアプリ"Notes"をLinuxMint(17.2)にインストールする。
依存関係を解決するためにGCC5系をインストールし、"Notes"の動作確認を行う。


2. 動機

私はアウトラインプロセッサのような、左側にメモの一覧、右側にメモの内容が表示されるソフトをずっと探していた。
Evernoteを使ったことがある人ならすぐに理解ができるだろう。

Windowsでは"Story Editor"というソフトがあったが、もう古い。
Linuxではアウトラインプロセッサは「これだ!」といえるものがなかった。
(Evernoteがあるから開発する必要がないのかもしれない)

そして見つけたのが"Notes"だった。
Macの雑誌で見たメモソフトによく似ている(iCloudのメモアプリかもしれない)。
メモアプリのためにMacbookを買おうという選択肢もあったほどだ。
デフォルトでフラットデザインなのもポイントが高い。

これはぜひともインストールして活用したいと思った。

記事にしたのはいつもどおり、既存の記事がないから。

3. 環境

  • LinuxMint 17.2 Cinnamon (32bit)
  • Notes 0.8.0
  • GCC 4.8
  • GCC 5.3


4. 問題

"Notes"を紹介しているページにもあるように、debパッケージを公式から入手できる。
しかし、パッケージインストーラーがエラーを吐いた。
ζ*'ヮ')ζ<依存関係が満たされていません:libstdc++6(>=4.9)(図1)

どうやら「C++のライブラリがないよ」と言っているようだ。
図1.エラーを吐いたパッケージインストーラー


4.1) libstdc++6とは?

ググってみたが、"Notes"をインストールするためにピンポイントで解説した記事は、やはり無い。
なので「libstdc++」から調査してみた。

libstdc++とは、
GCCで使われている、標準C++ライブラリ
(基礎知識か……知らなかった)

標準のC++ライブラリということは、単にバージョンの問題なのだろうと推測する。
UbuntuのパッケージではGCC 4.8と関係があることがわかった。

ググりながら、コマンドでバージョンを確認できることを思い出したので、そのSSを貼る。
コマンドではGCCのバージョンが4.8.4だと確認できた。(図2)
Synapticパッケージマネージャで確認してみると、「libstdc++6」はインストール済みだった。(図3)


図2.ターミナルでGCCのバージョンを確認

図3.Synapticパッケージマネージャで「libstdc++6」のバージョンを確認



なるほど、「libstdc++6」そのものはGCCの下位バージョンでも存在する。
てっきり「libstdc++6」が「無い」と思っていたが、つまりはGCCのバージョンを上げればいいようだ。

5. 解決策

元の紹介記事がUbuntu 15.10なので、GCCのバージョンを調べることにした。
そして、以下のことがわかった。
  1. Ubuntu 15.10ではGCC 5(5.1)がデフォルトで入っている
  2. GCC 5.3が2015年12月4日に公開された

GCCを自分の手で導入するのは初めてだ。
OSのバージョンが違ったらどうなるのか(GCC5系ならUbuntu 15以上など)を気にしていたが、問題はないようだ。

5.1) GCC 5.xのインストール

インストールには、いつも通りコンパイルするか、パッケージかの2択がある。
Linuxの使い手ならコンパイルを選ぶだろうが、私はコンパイルができない。
(何をするのか、何が変わるのか、何が必要なのかが未だに理解できてない)

ここではPPAからパッケージを導入することにする。
$sudo update
$sudo add-apt-repository ppa:ubuntu-toolchain-r/test
$sudo update
$sudo apt-get install gcc-5 g++-5


インストールして再び"Notes"のインストールを試したところ、依存関係のエラーはなくなっていた。(図4)
「Mintメニュー > アクセサリ > Notes」から起動できる。

図4.依存関係が解決したパッケージインストーラーの表示


6. 新たな問題

"Notes"は起動できたが、試しに日本語入力したところ、すべて豆腐文字になってしまった。(図5)
以前にLinuxにAdobeAirを導入した際、文字化けを経験していたので、諦めの文字が頭をよぎった。

直後にMintアップデートにGCCが含まれたことに気付き、更新することで日本語の表示ができた。
(記事冒頭のアイキャッチはコレ)(図6)

図5.日本語が豆腐文字になる"Notes"
図6.mintアプデートに現れたGCCのアップデート


しかし喜びもつかの間……。
"Notes"を終了し、再起動すると豆腐文字に戻ってしまっていた。
一度日本語の表示ができた以上、文字コード・フォントが原因とは考えにくい。

6.1)他の不具合

MacOSやLinuxではウィンドウの左上にある「閉じる」「最大化」「最小化」のアイコンにカーソルを乗せるとアイコンが消える症状を確認している。
クリックするとちゃんと動作はするので表示の問題が残っているのだろう。

また、公式のスクリーンショットを見て気づいたが、新規作成の「+(プラス)アイコン」と削除の「ゴミ箱アイコン」が真っ白になっている。
TIPSは表示されるが、さすがに真っ白なのはシンプルさが特徴でも違和感があった。


7. 寄り道

GCC 5.3をインストールするだけで"Notes"が起動できたので、触れなかったことについて。
同じ機能をもった複数のプログラムを使い分けるために「update-alternatives」コマンドを利用している解説がある。
私は今のところGCCを呼び出すつもりがないので、設定していないが、プログラミングもする人は確認したほうがいいだろう。
(優先度、元に戻す方法を押さえておきたい)

まとめ

紹介記事のように、GCC5系がプリインストールされているUbuntu 15.10以降であれば、"Notes"をインストールするのは簡単だと思われる。
しかし、元記事の画像でも(おそらくUbuntu 15.10環境)、アイコンが真っ白の不具合が確認できる。
それでも、日本語での書き込み・読み込みができるようになれば充分使えるだろう。

ひとまず公式のバージョンアップを待つしかなさそうだ。

追記

投稿前に気づいたので追記。
念の為にgccのバージョンを確認したら、「4.8.5」だった。
リンクを参考に「update-alternativeコマンド」で優先度を変更させたが、"Notes"の挙動は変わらなかった。 (図7)

図7.update-alternativesコマンドで優先度を変更